「めんどうくさい脳」

記憶は、脳の側頭葉にある海馬(かいば) という部分がつかさどっています。認知症グレーゾーンになると、この海馬の機能が衰えてくるのですが、じつはその前に、前頭葉の機能が落ちてくることがあります。

前頭葉はおでこの内側に位置し、意欲を生み出す、いわば「脳の司令塔」。この前頭葉の機能の衰えが、「意欲の低下」となって表れると考えられます。つまり、ここが認知症グレーゾーンの入り口です。

『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』(著:朝田隆/アスコム)

その最初のサインである「めんどうくさい」という言葉が頻繁に口をつくようになり、こんな兆候が見られたら要注意。

・ 身だしなみに気を配らなくなる
・ 長年続けてきた趣味をふいにやめてしまう
・ 社交的だった人が突然出不精になる

これらはごく一部ですが、すべて「めんどうくさい脳」(=意欲の低下)の表れかもしれません。そして、この時期を見過ごすと……

・ 家族や親しい人の名前を間違えたり、思い出せなくなったりする
・ 財布が小銭でいっぱいになる
・ 家電の操作にとまどうようになる
・ イライラして怒りっぽくなる
・ ささいなことでパニックになる

など、記憶の低下が始まり、心に関するトラブルが目立ちはじめます。