「最終的には誰かがやらなくちゃいけない仕事だから……」
どうすれば……と頭を抱えていると、「綿貫くん」と私を呼ぶ声が聞こえる。
「明日の45番が決まってないんだよね。そしたら俺がやるよ」
今朝通勤するときに話をした木島さんだ。しかし、木島さんは明日の休日出勤はできないと言っていたはずだ。
「でも明日って予定があるんじゃないですか? 本当に大丈夫ですか?」
「そりゃあ大丈夫ではないけど……まあ大した予定じゃないし、最終的には誰かがやらなくちゃいけない仕事だから……」
「ありがとうございます、本当に助かります……!」
夜22時前にして、何とか明日の勤務が埋まり、運休せずに走れることがようやく確定した。
※本稿は、『逆境路線バス職員日誌 車庫の端から日本をのぞくと』(二見書房)の一部を再編集したものです。
『逆境路線バス職員日誌 車庫の端から日本をのぞくと』(著:綿貫渉/二見書房)
元バス営業所職員兼JR職員の交通系YouTuber綿貫渉がバスから日本を見る、まったく新しいバスエッセイ!
日本初・定常運行の自動運転バスに乗ってみた感想や、「キングオブ深夜バス」として知られるはかた号やアメリカのバス乗車記、テレ東「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」プロデューサーとの対談も盛り込んだ、今までにないバスに焦点を絞った1冊!