バブル時代に生きていたかったという声をよく耳にするが、当時の一般庶民は、好景気にむしろ腹を立てていた(写真提供:Photo AC)

 

日本で1971年(昭和46年)から1974年(昭和49年)に生まれた第2次ベビーブーム世代、いわゆる<団塊ジュニア>も、多くが50代へ突入しつつあります。激しい受験戦争や就職氷河期などを通過した世代でもありますが、その間、何が生まれて何が失われたのでしょうか。自身も団塊ジュニア世代で、ライターとして活動する速水健朗さんいわく「バブル時代に生きていたかったという声をよく耳にするが、当時の一般庶民は、好景気にむしろ腹を立てていた」そうで――。

リクルート事件、バブル、土地高騰

安倍政権時代に日本は長期政権を経験するが、この時代の長期政権といえば中曽根政権を指した。1982年から87年までが中曽根政権時代である。

リクルート事件が起こるのは、その長い中曽根政権の時代が終わり、次の竹下登時代に引き継がれた直後のこと。

リクルート事件そのものに触れる前に、バブル経済がどのように発生したかは、流れだけ押さえておくと1985年プラザ合意→急速な円高→不況懸念→公定歩合引き下げ&通貨供給量増加→土地と株の資産バブルが発生していた。

景気がいい時代。バブル時代に生きていたかったという声をよく耳にするが、当時の一般庶民は、好景気にむしろ腹を立てていた。儲かっているのは、株を持っているものと土地を持っているものだけ。

庶民は、マイホームを夢見ることすら許されない。むしろ、好景気がなくなって地価が戻ればいいのに。それが当時の庶民の声を代表するものだ。