ますます厳しくなる圧力

この年7月の「七・七禁令」を機に、レビューやミュージカル・ショウに対する時局の圧力がますます厳しくなっていた。

アメリカのジャズやミュージカル・ナンバーが「軟弱」「公序良俗に反する」というムードで、取り上げにくくなってきていた。

それゆえ「軍艦行進曲」や、イタリア・ファシスト党の「黒シャツの歌」など、勇ましいマーチを取り上げる企画で、当局を納得させようという手でもあった。

服部良一は、これらをジャズ・アレンジにして、スウィング・バージョンで演奏。

笠置シヅ子は第三曲「二人の兵士」を春野八重子とデュエット、第七曲「双頭の鷲の下に」のジャズ・アレンジを、いつものようにスウィンギーに歌った。

※本稿は、『笠置シヅ子ブギウギ伝説』(興陽館)の一部を再編集したものです。

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笠置シヅ子ブギウギ伝説』(著:佐藤利明/興陽館)

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