ますます厳しくなる圧力
この年7月の「七・七禁令」を機に、レビューやミュージカル・ショウに対する時局の圧力がますます厳しくなっていた。
アメリカのジャズやミュージカル・ナンバーが「軟弱」「公序良俗に反する」というムードで、取り上げにくくなってきていた。
それゆえ「軍艦行進曲」や、イタリア・ファシスト党の「黒シャツの歌」など、勇ましいマーチを取り上げる企画で、当局を納得させようという手でもあった。
服部良一は、これらをジャズ・アレンジにして、スウィング・バージョンで演奏。
笠置シヅ子は第三曲「二人の兵士」を春野八重子とデュエット、第七曲「双頭の鷲の下に」のジャズ・アレンジを、いつものようにスウィンギーに歌った。
※本稿は、『笠置シヅ子ブギウギ伝説』(興陽館)の一部を再編集したものです。
2023年NHK朝の連続テレビ小説、『ブギウギ』の主人公のモデル。
昭和の大スター、笠置シヅ子評伝の決定版!半生のストーリー。
「笠置シヅ子とその時代」とはなんだったのか。
歌が大好きな風呂屋の少女は、やがて「ブギの女王」として一世を風靡していく。彼女の半生を、昭和のエンタテインメント史とともにたどる。
出典=『笠置シヅ子ブギウギ伝説』(著:佐藤利明/興陽館)
佐藤利明
娯楽映画研究家・オトナの歌謡曲プロデューサー
1963年東京都生まれ。榎本健一、古川ロッパ、笠置シヅ子、ハナ肇とクレイジーキャッツ、渥美清などの昭和の喜劇人、アーティストの魅力を、新聞連載やコラム、音楽CD、映像ソフトのプロデュース、ラジオなどで、発信を続ける「昭和のエンタテインメントの伝道師」。音楽プロデューサーとしても活躍、CD「ブギウギ伝説 笠置シヅ子の世界」監修・選曲・解説、由紀さおり&PINK MARTINI「1969」のスペシャル・アドヴァイザー、小泉今日子・浜田真理子「マイ・ラスト・ソング」構成・プロデュースなどを手掛ける。2015 年文化放送特別賞受賞。『マイ・ラスト・ソング~久世さんが残してくれた歌~』など舞台・コンサートの構成・演出も手がける。第8回両国アートフェスティバル芸術監督。 主な著書は『クレイジー音楽大全 クレイジーキャッツ・サウンド・クロニクル』(シンコーミュージック)、『石原裕次郎 昭和太陽伝』『みんなの寅さん from1969』(アルファベータブックス)、『寅さんのことば 生きてる?そら結構だ』(幻冬舎)、『番匠義彰映画大全:娯楽映画のマエストロ』(Amazon)など多数。https://note.com/toshiakis/