ジェーン・スーさんが『婦人公論』に連載中のエッセイを配信。今回は「女性の不調」について。50歳を過ぎたら体調不良の日ばかりになったというスーさん。そんな女性が抱える健康上の問題をテクノロジーで解決するサービスや製品を指す「フェムテック」が「産業」扱いされているのが、どうしても引っかかるそうでーー。
週の半分はダルい
50歳を過ぎたら、体調の良い日なんて数えるほどになるとは聞いていた。だから、覚悟は決めていた。しかし、百聞は一見に如かず。仕事を抱えすぎている事実を脇に置いたとしても、週の半分はダルい。
さすがにこの号が発売される頃には寒くなっているはずだが、原稿を書いている11月頭現在、東京の最高気温は27度を記録し、2日続けて夏日という観測史上初の事態に見舞われている。ただでさえダルいのに、ダルさに拍車がかかる。もう、いっそのこと定年を55歳に戻してほしい。自営業者なので、そんな悠長なことは言っていられないのだけれど。
そろそろ終わりを迎えるはずの生理も、ここにきて中学時代のそれを彷彿とさせるような重さに変わった。ホルモンバランスが崩れたせいだろう。婦人科検診を受けているので異常がないとはわかっているものの、「これが陣痛だよ」と言われたら「やはり、そうでしたか」と返答したくなるほどの痛みが襲ってくることもある。トイレで思わず、「生まれる!」と叫びそうになった日もあった。
念のため経産婦の友人に尋ねてみたら、陣痛は生理痛の千倍くらいとの答えだったので、私の痛みなんかまだまだお子ちゃまだ。何人も子を産んでいる女性を心から尊敬する。そして、妊婦が自由に無痛分娩を選べるようになってほしいと切に願う。