(イラスト:古谷充子)
総務省が発表した2023年11月分の家計調査報告によると、勤労者世帯の実収入(2人以上の世帯)は、1世帯当たり494,181円と、前年同月比で4,7%の減少に。さらに2人以上の世帯における消費支出は、1世帯当たり286,922円で前年同月比で2.9%の減少でした。物価高が続く中、消費を少しでも抑えたい人は多いはず。一方で、節約という意識というよりは、ただ無駄遣いが嫌いな性質という方も。安く手に入れたい、物は最後まで使い切らないと気が済まない……。柳内玲子さん(仮名・神奈川県・主婦・48歳)は、近距離移動に使う交通費を”もったいない”と感じるそうで――(イラスト=古谷充子)

乗ろうとすると頭の中で「モッタイナイ」が鳴り響く

この世で一番もったいないと思うもの、それは近距離移動に使う交通費だ。交通機関にお勤めの方々には大変申し訳ないが、立派な足が2本もあるのに、わずかな距離のためにお金を払うなんて。自分の中の「貧乏性のワタシ」が「モッタイナイ、モッタイナイ」と身もだえして乗車を嫌がるのだ。

おかげで脚が鍛えられ、片道1時間は余裕で歩けるし、長い階段の上り下りもまったく苦にならない。今日も買い物帰りに100段ほどの階段を上る途中、中ほどでひと休みするご婦人たちに「ここの階段、キツいですよね」と笑顔で声をかけつつ、一気にごぼう抜きして、「勝った」と大人げなくほくそ笑んでいたところ。

わが家の最寄りは、JRのターミナル駅から私鉄に乗り換えて1つ目にある小さな駅だ。JRの駅までの道のりは約2キロ。私の足では徒歩25分、私鉄の運賃は180円。バスも走っていて、停留所4つ、運賃は200円。先に述べた通り近距離の移動に乗り物を使いたくない私は、私鉄やバスを使わず、2キロの距離を軽やかに歩いている。

猛暑の時期は、早朝に日傘をさしていても汗だくになる。日焼けしたくないので自転車はあまり使わない。どうやらJRの駅まで徒歩というのはご近所では少数派で、途中まで前方を歩いていたご近所さんたちは、ほぼ全員、私が通り過ぎる私鉄の駅の小さな改札に吸い込まれていく。

ウォーキングにちょうどいいし、健康的でお財布にもやさしくて一石二鳥なのに、なぜみんな歩かないの? もっとも、通勤や通学に長距離を歩いて体力を使うなんてとんでもない、というのが普通の感覚だろうが。