家康の願い

そもそも家康は、なぜ江戸に幕府を開いたのか。

室町幕府以来、武士も先進地帯である畿内に本拠を置いた。信長も秀吉もそうしたわけです。ならば家康も、伏見や大坂、あるいは京都に幕府を置いてもおかしくはなかった、というか、むしろそれが普通のことだった。

ところが彼は『吾妻鏡』を読んで勉強しながら、源頼朝のように、東国の「いなか」に引っ込んだ。それはなぜか。ぼくは後進地域であった関東地方と東北地方の「底上げ」を目的として持っていたと思うのです。

そこで、日光です。頼朝は箱根山権現と伊豆山権現を篤く信仰した。頼朝に学ぶのであれば、たとえば「箱根に小さな堂を作って・・」と遺言してもよかった。でも、箱根では東北地方が遠い。

対して、日光は関東と東北の境界にある霊場。東国全体を見守るなら、そこが最適です。

家康を祀る日光東照宮・奥宮(奥社)(写真:婦人公論.jp編集部)

家康が想定していた「小さな堂」はとてつもなく立派な「大きな殿舎」になりましたが、東国を見守りながら、同時に東から日本全体を守護する。家康はそう願っていたのではないかと考えます。


《戦国偉人伝》本郷和人先生が同行! 風林火山 武田信玄ゆかりの地を巡る 2日間

本連載を担当されている歴史学者・東京大学史料編纂所教授 本郷和人先生と、歴史を変えた地を巡る旅、好評だった第一弾「徳川家康編」に続き、第二弾が3月に開催されることになりました!

テーマはズバリ、「武田信玄」!。信玄ゆかりの地を実際に歩きながら、日本史研究の最先端に立つ先生による解説を聞き、体感することができます。単純に観光地を巡るツアーとは違い「歴史」の知識を深める、大人のための学び旅。この機会にぜひ!

【魅力あふれる旅のポイント】

● 武田氏の居城「躑躅が崎館跡」に創建された「武田神社」。信玄の菩提寺「恵林寺」。そして武田信玄と上杉謙信の「川中島の戦い」において、最も激しい合戦場跡となった「川中島古戦場史跡公園」など、巡る先は武田信玄ゆかりの地!
●信玄の後継者・勝頼ゆかりの地も。勝頼公によって築城された城郭「新府城跡」、そして武田家一族滅亡の地「景徳院」へ…
●離れていても案内が聞こえるイヤホンガイド付きで「密」回避!
●ご宿泊は甲府駅にも徒歩圏内の好立地なホテルへ!

<詳しくは読売旅行のサイトまで>