出会い自体が大きな財産

行きつけの洋品店が同じということは、服の趣味が同じということですが、なんと、車の趣味も同じで、気に入っている並行輸入の自動車店も同じだったのは驚きました。年は違いますが、気が合うんです。たぶん健さんもそう思ってくださっていたと思います。僕ね、あるとき「五木さんが女性だったら女房にしたい」と言われたんですよ。(笑)

健さんはとにかく着るものは地味で、超高級店で調達なさるわけですから素材は最高級でも、常に存在を消すような色合いのものを選んでいらっしゃいました。本物のおしゃれですよね。

生き方もストイックで、ウォーキングを続け、お酒もたしなむ程度で、体型の維持に気をつかっていらした。この点でも、僕は大きく影響を受けています。

不動明王をネックレスにしたものをプレゼントいていただいたことがあります。今でも大切な僕の宝物ですが、それ以上に、僕自身が売れていた生意気盛りの20代に高倉健という人物に出会えたことが、僕の大きな財産です。

※次回は「五木ひろしが語る~~昭和歌謡史(6)」をお届けします。