大切な人を守るために
そうした専門技術に加え、プロの技術が如実に表れるのが「気づく力」です。
例えば、移動の介助を行う際には、要介護者を支えながら、体のバランスや力の入れ具合などに変化がないかどうかをより細かく確認しています。
また、食事の介助の際には、咀嚼(そしゃく)した食べ物を飲み込み、「嚥下(えんげ)」がスムーズにできているかどうかを注意深く観察し、入浴介助の際も、後頭部や肩甲骨、背中、お尻などの状態に目を配り、「褥瘡(じょくそう)(床ずれ)」が起きていないかどうかを確認しながら介助しているのです。
専門家の「目」が入ることによって、そうした体の変化や予兆を早期に発見し、悪化を防ぐための手立てを講じることができるのはもちろん、プロフェッショナルによる介護を取り入れることは、大切な人を守ることにもなるのです。
相手のことを考え、思いやるのなら、プロフェッショナルに頼りましょう。
そうすることが、あなたの介護の負担も減らし、パートナーとできるだけ長く、残された時間でよりよい生活を営むための助けとなるはずです。
誰の力も頼らず、1人で尽くすことは決して、相手のためにも、自分のためにもならないのです。
※本稿は、『老老介護で知っておきたいことのすべて 幸せな介護の入門書』(アスコム)の一部を再編集したものです。
『老老介護で知っておきたいことのすべて 幸せな介護の入門書』(著:坪田康佑/アスコム)
・今はまだ元気だけどこの先不安
・介護疲れからか、相手につらくあたってしまう
・自分の体調もよくないし、このままだと共倒れが怖い
気力や体力が衰えはじめている状態で行う老老介護だからこそ
生まれる不安と悩みを解決するコツを網羅した1冊です。
人生の後半戦を幸せに乗り切るために、ぜひ一家に一冊ご用意を!