「神のお告げ」
デーブ だけど中野さんが言うからいいんでしょ? 中野さんが不倫とか毒親について思い切ったことコメントしても炎上したりしないもんね。あれ、なんでなんだろね?
中野 それは、割とそういう、んー、なんだろうなあ。誰しも人というものが持つ闇の部分があるじゃないですか。
そういうところに「脳科学の言葉」で光を当てると、逆にみんな安心するというか? 薄々そうは思っていたけど「ああやっぱり」って納得したいのかもしれないし、その納得感があれば、大きく炎上させるモチベーションはそんなに大きくならないんじゃないですかね。
「それでいいんだ」と自分を承認してもらいたいという気持ちもあるでしょうし。私は実はそういうことが求められてるんだろうかと思ったりするんですよね。
デーブ 「神のお告げ」だね。脳科学っていう「神のお告げ」が求められてる。中野さんはシャーマン。巫女。
中野 私がどうかはともかく、メディアっていう単語がもうそもそもそういう意味でもあるのは面白いですよね。
多くの人が当たり前だと思って見過ごしているかもしれないところに言及できるのはきっと強みなんだろうと思います。
自分がなんとなく日本の社会の真ん中じゃないところから発言しているなというのは自覚があって、そういう意味ではデーブさんと私の立ち位置は似ているのかもしれない。
※本稿は、『ニッポンの闇』(新潮社)の一部を再編集したものです。
『ニッポンの闇』(著:中野信子・デーブ・スペクター/新潮社)
現代日本を覆う「コンプライアンス」や「忖度」が生み出した「タブー」をテーマに二人がジャニーズ問題から統一教会問題までをも語り尽くす――
「ニッポン」の周縁と中心を自在に往還する二人ならではの「異能対談」。