2008年11月、東京・三井倶楽部で行われた長女・七奈美さんの結婚式で。左から勝野洋さん、キャシーさん、七奈美さん、次女・雅奈恵さん、長男・洋輔さん(写真提供:キャシー中島さん)

残間 なるほど。それは気持ちを切り替えるコツかもしれませんね。でもその日の外出に関して、心ないことを言う方もいたのよね。

キャシー 「普通の人は娘や息子を亡くしたら立ち直れません。仏壇の前で泣き暮らして、悲しみのあまり命を落とすこともあります」と言う方もいました。

残間 えぇっ!

キャシー でも、母が産んでくれたおかげでこの世に生を得、いろいろな力をもらった。ずっと悲しみに沈んでいたのでは、万物に対して申し訳ないと思うんです。

残間 何より娘さんが望みませんよね。

キャシー まさにその通りです。もちろん今でも悲しみは癒えないし、娘の話をすると、つい涙ぐんでしまいます。でも、笑顔でいなくては、と思っていて。同じように子どもを見送った方からコメントをいただくこともありますが、その方たちは私が笑顔で「一緒にがんばりましょう」と発信することを望んでくださっている。努めて笑うようにしていたら、いつしか笑い顔が自分の顔になっちゃいました。(笑)

残間 ブログを拝見して、人の笑顔ってこんなに人を元気にするんだと実感しました。

 

親しい人たちを見送って変わったこと

キャシー 残間さんは比較的最近、お母様を亡くされたんですよね。

残間 4年半ほど前に、99歳9ヵ月で見送りました。それまで15年ほど介護をしていましたが、最後の2年は全盲になり介護施設のお世話に。施設には毎日のように会いに行っていたし、自分なりにやれることはやったと思っています。それなのに、心のどこかに引っかかりがあるのです。

キャシー わかります。

残間 ほんの小さなことなんですよ。たとえばお手洗いに連れていった時、早く済ませたほうがお互いに楽だと思っておしりの洗浄を少し強めたら、母が「痛い」と言った。それなのに私は弱めなかったとか……。トイレに入った時、ふっと思い出して、つらかっただろうなと涙ぐんだりします。

キャシー 何年たっても、そういう思いは蘇るのよね。

「私も〇〇を見ないで終わるのね」と言う母の「脅し」に屈して、湯布院、サンフランシスコに続き、95歳の誕生日に金沢へ(写真提供:残間里江子さん)