“ドラマ”とどう向き合うか

さて、こうしたことを踏まえて、この一年間、どう『光る君へ』と向き合うか。

ドラマなのだから、フィクションであるのは自然なこと。このコラムで何度も申し上げているように、これは大前提です。それをふまえて歴史学者としての専門的な知見を、となると…。 

日本文学が専門であるならば、登場人物に対峙し、心の動きに寄り添う。それが可能になりますよね。でも悲しいかな、日本史研究に一応良心的に従事する身としては、そういうわけにはいきません。ある意味で、うそをつくことになるから。

ノンフィクションとでもうたっていない限り、ドラマが“うそをつく”のはまったく問題ない。ですが、研究者が自覚的にうそをついてはシャレになりません。

そんなドラマをもとに記していくこのコラムが、大河ドラマファンにとって、少しでも有意義なものになるにはどうすべきか…。書きながらよく考えていきたいと思っています。

というわけで、引き続き宜しくお願いいたします。


「失敗」の日本史』(著:本郷和人/中公新書ラクレ)

出版業界で続く「日本史」ブーム。書籍も数多く刊行され、今や書店の一角を占めるまでに。そのブームのきっかけの一つが、東京大学史料編纂所・本郷和人先生が手掛けた著書の数々なのは間違いない。今回その本郷先生が「日本史×失敗」をテーマにした新刊を刊行! 元寇の原因は完全に鎌倉幕府側にあった? 生涯のライバル謙信、信玄共に跡取り問題でしくじったのはなぜ? 光秀重用は信長の失敗だったと言える? あの時、氏康が秀吉に頭を下げられていたならば? 日本史を彩る英雄たちの「失敗」を検証しつつ、そこからの学び、もしくは「もし成功していたら」という“if"を展開。失敗の中にこそ、豊かな"学び"はある!