認知症が少ない国、デンマークは何が違うのか

デンマークには認知症が少ないと言われています。現地に行ったときに「なぜか?」と聞くと、「老後に不安がないからですよ」という答えが返ってきました。

やはり、高齢になったら、自分の好きなように生きるのがいいのですね。心配や不安を極力減らして生きていく。自分らしく、やりたいことをやって生きるのがいちばんだと思うのです。

『長生きは小さな習慣のつみ重ね――92歳、現役看護師の治る力』(川嶋みどり著/幻冬舎)

認知症の人を見ていて、「あれ?」と思うことがあります。それは、認知症になったからその症状が出たのではなく、若い頃からの傾向が顕著に出るようになったのではないか? ということです。

たとえば、怒りっぽいのも、人をだますのも、若い頃からそういう傾向があったのではないか、と思うのです。あるいは、それを表に出さずに閉じ込めていたか。

もちろん、全員がそうではなく、そういう人もいる、ということです。認知症のふりをしている、とは言いませんが、都合の悪いときには認知症になる、という人がいると思うのです。本当は聞こえているのに、都合が悪いときには聞いていないふりをすることは誰にでもあるでしょう。それと同じような感じです。

私は、認知症の方にも多く触れてきましたが、その度に、自分が試されているような感じがしていました。

「なんであんなこと言っちゃったんだろう」とか「もっとこうしておけばよかった」と、自分に嫌気がさすことの連続でした。全人格をかけて向き合っても、十分なケアができなかったと思っています。

ですから、今、認知症の人を地域で受け入れるとか、見守るという提案がなされていますが、それは相当な覚悟と体制がなければ難しいと思っています。