あの患者さんはうるさいと思われるくらいでちょうどいい

あるいは、最近はスマホの録音機能もありますから、それを利用するのもいいでしょう。「先生、私、忘れっぽいから、録音していいですか?」と言えば、医師は内心は嫌でしょうが、NOとは言いません。自分の言ったことに責任ももつようになりますから、この方法はいいですね。

『長生きは小さな習慣のつみ重ね――92歳、現役看護師の治る力』(川嶋みどり著/幻冬舎)

患者さんは、自分のことなので、質問しにくいものです。ですから、気になることは、やはり家族が聞いてあげるべきでしょう。あらかじめ質問を書いていくと、落ち着いて聞くことができます。そういう努力は、必要だと思います。

私は看護師たちに「とにかく患者さんや家族から話を聞きなさい」と教えてきました。忙しそうにしているから話しかけにくいと思いますが、知りたいことはなんでも聞くべきです。うるさがられるほど聞いていい。「あの患者さんはうるさい」と思われるくらいのほうが、しっかり面倒をみてくれます。

あなたの大事な命なのです。医師や看護師の顔色など気にすることはありません。聞きたいことはどんどん聞きましょう。ちょっとした不安や不満もつみ重なると、体には大きなダメージとなりますから。

ただし、看護師の立場から、ひとつだけ言わせてもらうと、地位を利用する人は困ります。「国会議員だぞ」とか「どこぞの社長だったんだぞ」などなど。本人はそうでもないのに、家族が言う場合もあります。

申し訳ないのですが、「それがどうしたのですか」と言いたくもなります。こちらは病気が重かったり、症状が悪ければ、慎重にしますし、時間もかけます。地位やお金で動くわけではありませんので、そこは知っておいてほしいと思います。