慣れない用語や緊張感で、意外と内容を覚えていないことも(写真提供:Photo AC)

厚生労働省によると、日本人の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳(2019年)。一方、日常生活を健やかにおくれる「健康寿命」は、男性72.68歳、女性75.38歳と、そこには10年近くの差異があります。寿命を迎えるまで、なるべく自分の力で元気でいたいーー。そんな健康長寿を実践しているのが、92歳で現役の看護師の川嶋みどりさんです。看護歴75年の川嶋さんに、忙しそうな医師や看護師との上手な付き合い方について聞きました。

意外と忘れてしまう、医師の説明を聞くときの心得

主治医とのコンタクトはとても大事です。

「主治医が誰だかわからない」という人もいますが、やはり主治医の名前や、病棟の責任者である師長の名前は最初に伺うかがっておいたほうがいいと思います。

そして、担当の看護師も知っておいたほうがいい。日替わりの病院もありますが、その場合は、せめて主だった人の顔と名前を覚えておくといいでしょう。

病棟は医師も看護師も忙しいし、うかつなことは言えないので、「病状どうですか」と聞いても、その場で教えてくれません。

ですから、前もってアポを取り、落ち着いた環境で、医師と話ができるように頼んでみることをオススメします。症状や治療方針の共有は大事なのですが、病棟は忙しいため、家族から働きかけないと、流されてしまうことがあります。

そして、医師と話ができた場合は、その場で、しっかりメモを取ることです。インフォームドコンセントの義務があるので、医師は説明してくれますが、いろいろ話されているうちに忘れてしまいますから。

「どんな説明聞いた?」と家族に後で聞くと、たいていの人は覚えていない。みなさん、その場ではしっかり聞き、理解できたつもりでいるのですが、専門用語や初めて聞くような言葉も多いので、聞いた話の3割くらいしかわかっていないものです。医師は自分のペースで話をしますから。

ですから、できれば第三者にも聞いてもらう。