コミュニティバスへの転換

この、廃止される路線と維持される路線の違いは、内部補助を行ってでも維持すべきかどうかの事業者の判断次第だろう。

それでもバスが廃止されると地域の住民への影響が大きいと自治体で判断されれば、地方自治体が主体となって運行されるコミュニティバスに転換される。

例えば、静岡市内のJR東海道線付近を走る、蒲原病院〜由比駅を走るバスがある。この区間は従来は富士急静岡バスの運行であったが、同社の撤退により静岡市自主運行バスに移管された。

逆に、静岡県の浜松市と湖西市を走るバスに、馬郡車庫〜湖西市役所という区間があった。こちらは従来は遠鉄バスが運行していたが、2021年に利用者減少等の理由により運行が終了してしまった。この区間については、新たにコミュニティバスとして転換されるということもなかった。そのため、湖西市内の区間に関しては従来からコミュニティバスがあったためバスでの移動は可能なものの、浜松市内の区間は完全にバス路線のない空白地帯となってしまった。

※本稿は、『逆境路線バス職員日誌 車庫の端から日本をのぞくと』(二見書房)の一部を再編集したものです。


逆境路線バス職員日誌 車庫の端から日本をのぞくと』(著:綿貫渉/二見書房)

元バス営業所職員兼JR職員の交通系YouTuber綿貫渉がバスから日本を見る、まったく新しいバスエッセイ!

日本初・定常運行の自動運転バスに乗ってみた感想や、「キングオブ深夜バス」として知られるはかた号やアメリカのバス乗車記、テレ東「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」プロデューサーとの対談も盛り込んだ、今までにないバスに焦点を絞った1冊!