パートナーや大切な人を失ったとき
パートナーと一緒に寝ていたベッドを使いたくないという気持ちもわかります。
しかし、それは「忘れよう」「忘れたい」という思いの裏返しで、かえってストレスを大きくさせるだけ。これまでどおりのライフスタイルを続けるほうがいいでしょう。
いつも2人で見ていたテレビ番組が始まる時刻になったらチャンネルを合わせたり、それまでと同じように新聞や雑誌を読んだり、音楽を聴いたりすることが大切。
これまでどおりに数週間を過ごすうちに、「絶対に忘れられない」「消えることのない悲しみ」と思っていた深い心の傷が、しだいに癒されていくのです。
保坂隆さんの連載「人生を楽しむ ほどほど老後術」一覧
出典=『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』(著:保坂隆/中央公論新社)
保坂隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長
1952年山梨県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、現職。また実際に仏門に入るなど仏教に造詣が深い。
著書に『精神科医が教える お金をかけない「老後の楽しみ方」』(PHP研究所)、『精神科医が教える 繊細な人の仕事・人間関係がうまくいく方法』(三笠書房)、『精神科医が教える すりへらない心のつくり方』(以上、大和書房)、『頭がいい人、悪い人の老後習慣』(朝日新聞出版)、『精神科医がたどりついた「孤独力」からのすすめ』(さくら舎)などがある。