人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。

腹式呼吸のメリット

大きく息を吸って吐くだけの深呼吸ですが、医学的にも心と体を落ち着かせる効果があることがわかっています。せっかくなら正しい深呼吸、つまり腹式呼吸を覚えておきたいもの。それを紹介しましょう。

ふだん私たちが無意識にしている呼吸は、肋骨を広げたり閉じたりする胸式呼吸です。胸式呼吸は腹式呼吸にくらべて空気を取り入れる力が弱く、体内の酸素量が少なくなりがちです。これでは自律神経や脳の働きが鈍くなり、イライラしやすくなったり落ちこみやすくなったりします。

腹式呼吸をマスターするには、まず仰向けに寝て、両ひざを立て、一方の手を開いてお腹の上に置きます。その状態で軽く息を吐いてから、ゆっくりと大きく鼻から息を吸います。

このとき、お腹が動いているかどうかを確認してください。お腹が動いていれば正しい腹式呼吸ができているということ。もし、お腹が動いていない場合は、いろいろな呼吸方法を試してお腹が動くようにしましょう。

お腹が動くようになったら、今度は椅子に座って呼吸をして、お腹が動くかどうかを確認しましょう。これもクリアできたら、立ったまま練習をします。これを繰り返すと、自然と腹式呼吸ができるようになるはずです。