厚生労働省が公表している「令和4年簡易生命表」によると日本の平均寿命は、男性が約81歳、女性は約87歳だそう。年齢を重ねるごとに「老い」を感じる場面は増えますが、91歳で評論家として活躍している樋口恵子さんは、「せっかくの人生、機嫌よく生きなければもったいない!」と話します。さらに樋口さん、「『楽しく』はちょっと難しくても、『楽しげに』なら誰でもできる」と言っていて――。
楽しげに生きる
私は、いつも「ご機嫌に生きなければ損」「楽しげに生きよう」と自分に言い聞かせています。
「そんなこと言われても、楽しいことなんてそれほどないのに。私はそんなふうにできないわ」とおっしゃる方。お気持ち、お察しします。
また、高齢になると、年齢ゆえの衰えに悩まされることが増えるのも事実です。
生きていれば、いつでも上機嫌でいられるわけではありません。
とくに高齢期となれば、不機嫌のタネはそこここに! 怪我や病気、身体の衰えなど、落ち込む材料はいくらでもあります。
私もスタスタ歩こうと思っても歩けないし、人と会話していても固有名詞がすぐに出てこない……。歯がゆいことが多々あります。
でも「楽しく生きる」と「楽しげに生きる」というのは、似て非なるものです。
「楽しく」はちょっと難しくても、「楽しげに」なら誰でもできます。そして「楽しげに」生きるのは、じつはご機嫌をつくる知恵。
もちろん自然に楽しいことがあればいちばんいいのですが、たとえ、実際に楽しいことがなくてもかまわないのですよ。