まず水やり。ハーブたちは喉(ないけど)がカラカラだろうと思い、頻繁に水をやった。朝、夕方、ときに昼間でさえ、気づくと水道の蛇口をひねり、土の部分のみならず、葉っぱの上からまんべんなく放水した。すると、

「真昼に水をやってはダメよ」

という友だちの声が届いた。

「気温が高いうちは与えた水がすぐに沸騰してお湯になっちゃうの。植物が枯れる原因になるのよ」

なるほど。その教えを受けて以降、水やりは早朝と夕方、日が暮れかかった頃の二回に留めた。

いくら暑くとも太陽の光は必要だろうと思い、長らくバルコニーに並べていたのだが、

「室内のほうがいいんじゃない?」

そんな声を耳にする。そこで今度はリビングの板の間に新聞紙を広げ、そこへハーブ軍団を並べることにした。まさに緊急入院、集中治療室への移動である。が、室内に置くと、微動だにしない。エアコンの風には当てないほうがいいと思ったが、こんなに動きがないと、植物も生きているのか死んでいるのか自分でもわからなくなるのではないか。不安になって、少し気温が下がった日、また外へ出してみた。

風に揺れるハーブの葉っぱを眺めていると、喜んでいるように見えた。これでなんとか元気回復となりますように。すると、

「熱風に当てると、せっかく葉のなかに含んでいる水分がぜんぶ蒸発するから、よくないと思うわよ」

新たな意見が入ってきた。げげ、そうだったのか。こうしてまた集中治療室に舞い戻ることと相成った。