本屋さんが沢山あったときから本を読んでいたのか、という疑問

清水:みんな本屋さんを好きなはずなんですけどね。コロナがあって、街に出かけなくなったのかな。

藤本:この間、本屋さんのライバルがますます増えた、ということは現実としてあると思います。とはいっても電子書籍がライバル、という意味ではまったくなく。動画配信やゲームなど、特にスマホの中に可処分時間を奪い合うライバルが増えた。手軽によりアクセスしやすい娯楽に押されている、というのが実態でしょう。

藤本さん「手軽によりアクセスしやすい娯楽に押されている、というのが実態でしょう」(写真:本社写真部)

清水:時間潰しの娯楽、という意味では「目も頭も使わずに楽しめる」ものに流れるのは仕方ない気もしますね。本だって、そういう役割を担ってきたのは事実だし。今考えれば、本屋さんに元気があった時でも、実際にみんなちゃんと本を読んでいたのか、と問われたらそれはどうなのかな、と。

編集:と申しますと?

清水:若い秘書が以前「新しく本棚を買った」というから、どんな大きな棚を買い直したのかと思ったら、そもそも家に本棚がなかったらしく。僕が定期的に本を出すから、それを持ち帰っているうちに棚が必要となり、やむなく一つ買った、ということだったそう。そんな話を聞くに従い、本屋さんがあっても無くても、はたして本を買って読むような読書習慣が、もともと自分たちの身についていたのだろうか…と疑問を覚えたりするんです。