無人店舗だから売れる本もある?

清水:好調なのであれば、今後はさらに広げていく、ということ?

大塚:あくまで23年度は実験として捉えていましたが、それで一定の成果が出たので、24年度から対応店舗をさらに増やしつつ、取引先の本屋さんにも提案していこうと考えています。

大塚さん「24年度から対応店舗をさらに増やしつつ、取引先の本屋さんにも提案していこうと考えています」(写真:本社写真部)

清水:売り上げが増える、といったポジティブな話がなかなか出てこない連載なので、なんだかうれしいな。衰退する文明を見届けるような企画になりつつあったので…。(苦笑)ちなみに無人だからこそ売れる本もあるんでしょうか?

大塚:無人だから、有人だから、というより、そもそも日中と夜間で書店のお客さんはガラッと変わります。たとえば午前中だと、年配の方と女性が多い。夜になると仕事帰りのビジネスマンの来客が増えます。なので、夜間の無人営業ではビジネス書が目立って売れていますね。

清水:それはいいな! これまでビジネス系の本を刊行してきた僕に、まわりまわって恩恵が。風が吹けば桶屋が儲かる……。エッチな本を深夜に買いにくる人なども、実は寄与していたり?

大塚:むしろ2店舗に、成人しか買えない本は置いていません。昼と夜で変えているのでもなく、もとから取り扱いしていないのです。ちなみに有人で24時間経営をしていて、大塚駅前の繁華街にある山下書店大塚店は、夜にそういった本の売り上げが高い傾向にあります。なので、夜間にそういった本の売り上げが伸びる可能性があるのは分かっているのですが、無人である以上、人の目が届きにくいことで生まれるリスクも考えなければいけない。