(写真提供:佐藤 亘(文藝春秋))
2018年9月に母・樹木希林さん、その半年後に父・内田裕也さんを亡くした内田也哉子さん。その当時から5年続けた連載で、たくさんの人と合い、対話してきた也哉子さん。それぞれの対話は意図せず「喪失」を共通テーマに進み、それは自分の中のモヤを晴らしたかったのかもしれないと語ります。そして、そのモヤの正体は――(構成:篠藤ゆり 写真提供:佐藤亘(文藝春秋))

強烈な父母の残像とともに

この本は、母・樹木希林が亡くなった直後の2018年暮れから、足掛け5年にわたりお会いした、15人の方との語らいをもとに書いたものです。当時、母に関する本を書かないかと多くの依頼をいただきましたが、心が大混乱していたので、お断りしていました。

そんななか、女性編集者2人で新しい雑誌を立ち上げたいので連載をお願いしたい、という依頼があったのです。思いのこもったお手紙をもらって、「できるかどうかわからないけれど、書けたら書く」と引き受けました。

母の没後、父・内田裕也が入退院を繰り返すようになります。それから約半年で亡くなったのですが、私が生まれる前に父は母と別居、私は母子家庭で育ったので、父娘の強い関係性を構築できていなかった。それが急にかかわらざるをえなくなったという大変さがありました。

あんな時期になぜ連載を引き受けたのか、今考えると不思議です。「主婦」とか「母」として暮らすこと以外に、細くて強い糸みたいなもので誰かと繋がりたかったのかもしれません。