三途の川のほとりに父がいた

その頃だと思いますよ、三途の川を見たのは。

川のほとりで誰かしゃべっているんだよね。気がつくと、親父と僕がしゃべっているんですよ。細かい内容は忘れたけれど、覚えているのはこんな会話。

「じゃあ、そろそろ父さん行くから」
「俺まだ行きたくないから」
「そうか、お前はまだ行かないのか」
「もうちょっとこっちにいる」
「そうか、じゃあ父さん行くぞ」

そう言って、くるって背を向けて、親父が橋を渡っていった。本当に昔から聞いているようなストーリー通り。向こうにある花園のほうにだんだん親父が消えていくんだよ。

何となく意識が戻ったときに、“親父が迎えに来てたな、あれは何だったんだ、夢なのかな、あれが俗に言う臨死体験なのかな”なんてしばらく考えていました。

そういう話を前から聞いているから、そういう夢を見るのかしらね。どこの川というわけでもないけれど、リアルな夢でしたよ。