それなのに、ある音楽イベントで主催者が話題づくりのためか公表しちゃった。そうしたら取材が殺到。テレビ出演のオファーも来るようになって……。

友だちや歌の世界の先輩に相談したら、「おまえはおまえだし、いいじゃん」「それでヒップホップを広めていければいい。そういうことができる人はなかなかいないよ」と言われて、まあいいか、と。

 僕はLUNAがテレビに出てるのを見るのは嬉しい。ああ、頑張ってるなあと思って。でも、LUNAは子どもの頃、僕の仕事の内容を、よくわかっていなかったよね。

 そもそも《超魔術》って何だろうって。マジシャンというと、ナポレオンズとか、演芸場のイメージだったし。テレビに出ているパパの姿はあえて見ないようにしていたので、学校でクラスメートに言われて知る、という感じ。

給食の時間になると、何人もが「昨日マリックがこうやってた」と、私の前でスプーンを曲げようとする。給食がある限り、スプーン曲げの話が続くのかとウンザリ。給食の時間が苦痛でいつも早食いしてた。(笑)

 僕は僕で、親子の会話がないながらも、この子の関心を引くには、自分が仕事をしている世界を見せるしかないと思ってね。LUNAが好きな芸能人と仕事で一緒だったり、同じスタジオにいるときは、LUNAを呼んだりしたけど……。中学に上がったとたん、まったく興味を示さなくなった。風貌も「どうしたの」というくらいに変わって……。

 ヤマンバのメイクね。

 あげく卒業まで1年という中学2年の終わりに、学校から「強制退学」の知らせがきた。