末候

虹始めて見る 独活*ウド

栽培される軟白ウドに対して、野生のものを「山ウド」と呼ぶ。

山ウドは、すぐれた香気と歯ざわりが持ち味の山菜として知られるほか、古くから風邪や中風などの薬草としても知られる。

その誇り高い山ウドだが、一方で、「ものの役に立たない見掛け倒し」のたとえとして「ウドの大木」と言われることがある。

けれども、その「ウドの大木」もちゃんと役に立つことがあるのである。

野生のものを「山ウド」と呼ぶ<『七十二候を楽しむ野草図鑑 季節の移ろいの中で心穏やかに暮らす』より>

それは、ウドの新芽は必ず前年の枯れた茎(大木の残骸)の脇から出てくるため、山菜採りでウドを探すときは、遠くからでもよく目立つその「ウドの大木」を目印にするのがカシコイ方法ということだ。

どんな物も、何かの役に立つという好例。

※本稿は、『七十二候を楽しむ野草図鑑 季節の移ろいの中で心穏やかに暮らす』(青春出版社)の一部を再編集したものです。


七十二候を楽しむ野草図鑑 季節の移ろいの中で心穏やかに暮らす』(著:大海淳/青春出版社)

日本には「七十二候」という自然の移り変わりを細やかに表現した素晴らしい暦があります。

この「七十二候」と筆者の守備範囲である有用植物とを噛み合わせたのが本書です。

巻末には「七十二候を楽しむ野草の基礎知識」を掲載しています。