冷凍食品の保存法

便利な上、素材そのままの栄養価がキープできるのが冷凍食品。東京海洋大学産学・地域連携推進機構サラダサイエンス寄附講座特任教授の鈴木徹氏(食品冷凍技術推進機構代表)も「素材を保存するということは冷凍以外のほかの方法ではできない」と補足する。

「レトルトは常温で保存できる利便性を重視したもので加熱殺菌が必要ですが、冷凍は加熱してもしなくても食材を保存できます。野菜でも肉や魚でも鮮度がいいものを冷凍すれば、冷凍前の栄養価をキープできるのです。ほうれん草は冷蔵庫に入れておくと、1週間ぐらいで栄養素が10%程度になってしまいますが、冷凍であれば数週間、数か月と、冷凍前の状態を保つことができます」

ただし野菜を冷凍する時は、生のままではなく、さっとゆでてから保存する作業が必要という。

生のまま野菜を冷凍すると、野菜に含まれる酵素が活動して栄養素が低下し、食感も悪くなる。ブロッコリーを生のまま冷凍するとビタミンCの含有量が一気に減少するが、下ゆでをしたブロッコリーはビタミンC含有量に変化がないと報告されている。

ほうれん草などの野菜は熱湯で数十秒ゆでて氷水で冷やし、食べやすい大きさに切って冷凍するといい。この作業で野菜に含まれる酵素の働きを止め、食感と色、栄養素を残せるのだ。

ちなみに市販の冷凍野菜は、ほとんどが冷凍前に「ゆでる」「蒸す」などの工程を経ているため、一度ゆでてある冷凍野菜を再度ゆでることは避けたい。ビタミンやミネラルが流出してしまうのでスープに入れるといいだろう。

鈴木氏は「冷凍食品の保存法も重要」と続ける。

「いくら素材そのままを保存できるといっても、空気に触れて冷凍庫内の温度が上昇すれば食材の酸化が進んで劣化します。食材が空気に触れないようにラップで覆うなど密閉することと、冷凍庫の開閉時間を短くすること、そしてできるだけ早く使うことです」

組み合わせを工夫してレトルト食品を、そして長期保存での食材の酸化、劣化に気をつけながら冷凍食品や冷凍野菜を使いこなそう。