国交省が推進する高齢者のための住宅

サ高住とは、国交省が推進する高齢者のための住宅です。「高齢者住まい法」を2011年に改正し、整備を進めてきました。いま全国で8000棟以上。入居要件は60歳以上で、安否確認や生活相談などの「サービス」が付帯した賃貸住宅です。

ただ、老人ホームのような福祉施設(厚労省所管)とは違って、あくまで住宅です。自立型の場合、それぞれの住居内にトイレ、風呂、洗面所、キッチンがあり、食事や洗濯などは自分でできます。入居時一時金が不要で、月々、家賃とサービス費を払い続けるタイプのほか、事業者によっては終身全部前払い制の住宅もあります。

『老後の家がありません』(著:元沢賀南子/中央公論新社)

高齢者住宅なので、途中で、建物の建て替えによる立ち退きを迫られたり、年齢を理由に契約を更新してもらえなかったりはしません。

この日、紀美子さんが尋ねたサ高住は、家賃分は入居時に前払いするタイプで、向こう15年分の家賃を一括前納します。16年目以降の家賃は不要で、もし事情があって15年以前に退去・転出したい場合は日割りで返金されます。

家賃以外の月々の支払いは、3万3000円のサポート費と、周辺地域への往復乗り合いバスの運営費7000円の計4万円のみ。同じ運営者によるカフェが隣接しているので、炊事が難しい人は手作り弁当を購入したら宅配してもらえます。同じ事業者による要介護高齢者のための施設も隣接しており、そこで看取りもしてもらえます。