夫と上司の2人分のチョコを買った日のことは生涯忘れないだろう――(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは鹿児島県の60代の方からのお便り。夫に先立たれ、鬱々とする気持ちを切り替えるため、アルバイトに出た先で出会ったのは――。

2つの別れとバレンタイン

68歳になって、8歳年下の男性に恋をした。いや正確には、自分の肉体がその男性の肉体を求めているのである。

夫は10年以上がんに苦しんだうえ、まだまだ働き盛りの56歳の時、脳卒中で体の半身が不自由に。それから車椅子生活を経て、2年前のバレンタインデーに旅立った。

夫との性交は、子育て、姑の介護、夫の病気で徐々に減り、車椅子になってからはまったくなくなった。正直、日々の性交がない生活にはホッとした。子どもが2人生まれたとはいえ、夫との交わりはいつも機械的で、悦びはなかった。早く終わってほしいと願ってさえいた。夫以外の男性と体を重ねた経験がない私にとって、それは疲れるものだという気持ちのほうが大きかったのだ。

結婚生活のなかで、男性とかかわる機会がなかったわけではない。パート先やPTA、地域での活動において常に周囲には男性がいた。

しかし、家に帰れば夫や子どもがいて、姑の介護もあったので、ほかの男性はまったく目に入らず、自分のなかの《女》が薄まっていたと思う。だから夫が亡くなるまで、私は実は男性が好きではないのかもしれないとさえ思っていた。

しかし、私にとってそういう気持ちになれる男性があらわれた今、改めて晩年の夫はどういう気持ちだったのかと考えてしまう。性欲はなかったのだろうか。