《おかみさん》とのツーショット(23年11月)(写真提供◎木久扇さん)

妻をホッとさせてあげたい

今まで支えてくれた《おかみさん》――妻には本当に感謝しかありません。バルセロナ・オリンピックで一儲けしようと現地にラーメン屋を開いて失敗したり、タイからゾウを輸入しようとしてワシントン条約に引っかかって持ち込めなかったり(笑)。

そんなこんなでお金の苦労もかけたし、何より『笑点』を55年続けられたのは、妻が僕の健康を守ってくれたおかげ。今回の卒業も、妻をホッとさせてあげたい気持ちがあるんです。

僕は意外と体が弱くて、40歳になる前年に腸閉塞、63歳では胃がんを経験しています。77歳の時、どうも声が変だな、喉風かなと思っていたら、妻が、「それって風の声じゃないわよ」と。すぐに病院で検査を受けたら喉頭がんとわかって。治療もうまく進んで、商売道具の声を失わずに済みました。

疲れは自覚ができるけれど、僕の様子を親身になって観察してくれるのは長年一緒にいる夫婦だからこそ。だから妻のアドバイスは、必ず聞くようにしています。

お医者さんやリハビリの先生の言うこともよく聞く、真面目ないい患者なんですよ(笑)。3年前に大腿骨を骨折して車いす生活になるかもと言われましたが、地道にリハビリに励み1ヵ月で退院。翌月には椅子に座って高座にも上がりました。

現在も自分の体に合わせた個人指導のトレーニングに週1回通い、自宅でも加圧ベルトをしながら筋トレを続けたおかげで、小走りができるまでに回復しました。