車両と走り

そういった地域を走る京急は、車両と走りにこだわっている。

京急の車両は「赤」が印象的であり、主力車両である1000形電車の一部の車両に塗装が施されず、ステンレス地をさらした際には、京急ファンから反発が起こったほどだ。

その後に投入された同形車両では、フルラッピングや全塗装となってひと目でわかる「赤」が復活し、ファンを喜ばせた。20次車「Le Ciel」はブルーリボン賞を受賞している。

走りも、先頭車を電動車にし、高速性能も向上させ一部区間では時速120キロ運転として高い評価を得ている。

車両は、2扉クロスシートの2100形の人気が高い。地下鉄に乗り入れず、速達型専用車両であり、ラッシュ時には座席指定列車に使用される。

京急電鉄でラッシュ時に混雑しているのは、じつは品川駅手前ではない。横浜駅手前である(写真提供:Photo AC)

また、首都圏の私鉄としては珍しく、途中駅での増解結をひんぱんに行なう。ラッシュ時などは、途中駅で増結し、品川駅で解結という列車もある。

このように、他の私鉄に比べて独特の鉄道事業を行なうという姿勢が、京急沿線住民の「愛線心」につながっている。

このあたりは、沿線のあらゆる階層の人間に共通する意識であると考えられる。京急沿線の住民は、経済状況に関係なく京急電鉄を愛しているのだ。

それゆえに近年、一部で報じられる京急電鉄の労働環境の問題は、残念なことに思える。