京急電鉄は、鉄道事業そのものが愛されているそうで――(写真提供:Photo AC)
『沿線格差』という言葉を目にすることが増えましたが、フリーライターの小林拓矢さんいわく、「それぞれの沿線に住む人のライフスタイルの違いは、私鉄各社の経営戦略とも深くかかわっている」のだとか。今回はその小林さんに「京急電鉄沿線の魅力と実情」を紹介していただきました。小林さんが言うには「京急電鉄は鉄道事業そのものが愛されている」そうですが――。

京急電鉄沿線の魅力と実情は?

京急電鉄は、沿線住民に愛されている鉄道会社である。

しかし東急電鉄のように、グループ全体でフルサービスを提供することで沿線住民の支持を受けている、というスタイルではない。

もちろん、京急グループにはホテルもあれば、スーパーマーケットもあり、クレジットカードもある。

だが京急の「愛され方」は、そのあたりがしっかりしているからというものではない。

鉄道事業そのものが愛されているのだ。京急沿線住民の「愛線心」の高さは、鉄道そのものの魅力が生み出しているところがある。

そんな沿線住民の鉄道愛を感じさせるのが、横浜駅から徒歩10分ほどの京急グループの本社にある「京急ミュージアム」である。

小さい展示施設ながらも、京急の歴史や車両、沿線について知ることができ、興味深い施設となっている。

「京急ミュージアム」は、2020(令和2)年1月にオープンし、当初から入館には予約が必要だった。

コロナ禍を経てもなお、予約制を採用せざるを得ないほどの人気施設である。