いい医師、そして医師の使命とはなにか

――最後に読者に一番伝えたいことはなんでしょうか?

開業医って人生の成功者とか、楽して儲けているとか、そんなイメージがあると本を作っている中で耳に入ってきました。私は、自分が成功者だと思ったことはありません。大学人として挫折した人間だと思っています。また楽もしていません。だからこそ、いい医師とは何だろうかとか、医師の使命とは何だろうかとかを考えるようになったのは開業医になってからです。

私は毎朝緊張してクリニックへ出かけます。これも開業医になってからです。今日はどんな患者さんが来るのだろうか。ちゃんとコミュニケーションが取れるかなって考えます。おそらくみなさんが思っている以上に、開業医は真剣に患者さんに向き合っています。とはいえ、本では、おちゃらけた話も出てきます。それは患者さんに親しみを持ってもらいたくて書いたものです。医療だけでなく、どんなことでも相談してくださいというのが、私のメッセージです。

 


開業医の正体――患者、看護師、お金のすべて』(著:松永正訓/中公新書ラクレ)

クリニックはどうやってどう作るの? お金をどう工面しているの? 収入は? どんな生活をしているの? 患者と患者家族に思うことは? 上から目線の大学病院にイライラするときとは? 看護師さんに何を求めているの? 診察しながら何を考えているの? ワケあって開業医になりましたが、開業医って大変です。開業医のリアルと本音を包み隠さず明かします。開業医の正体がわかれば、良い医者を見つける手掛かりになるはずです。