「5つの会話術」

とはいえ、ただ「寄り添う」と言っても、難しいこともありますよね。

じつは、この「寄り添う」という行為は、気持ちの問題であると同時に、ものすごく技術的な問題でもあります。

そこで、私がいつも認知症の方との会話で大切にしているのが、次の「5つの会話術」です。

【1】うなずく
【2】相づちを打つ
【3】オウム返しをする
【4】まとめる・要約する・ゆっくり打ち返す
【5】褒める

【1】うなずくと【2】相づちを打つは、セットで対応するよう習慣づけます。

認知症の方がなにかを話し出したら、正面を向いて、やや大きくうなずきながら、同時に「うんうん」と声に出して反応しましょう。

「話を聞いてもらえている」と思えれば、認知症の方もまずは安心できます。

続いて、会話の中に具体的な内容を表す単語が出てきたら、相づちに必ずその単語を交ぜ、【3】オウム返しをします。

たとえば、「寒い」という単語が出てきた場合は、「あら、寒いんですね!」と、「カーディガンを着たい」と言った場合は「なるほど、カーディガンを着たいんですね!」と、そのまま打ち返すわけです。

相手からの会話がひととおり出切ったところで、【4】内容をまとめ、要約して、ゆっくり打ち返します。

「Aさん、寒いのでカーディガンを着ましょうね」。こんな具合です。

『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』