なぜ平均体重がここまで増えたのか
では、なぜここまで平均体重が増えたのか。
飽食の時代のためと思うかもしれませんが、実は1日当たりの摂取カロリーの平均(20歳以上)は、1980年の約2100キロカロリーと比べて、2012年では1888キロカロリー。摂取カロリーはむしろ減少しているのです(国民健康・栄養調査)。
それでも平均体重が増えているのは、「動物性脂肪の摂取割合が増えた」ことと(動物性脂肪の不飽和脂肪酸は体脂肪の蓄積を進める)、消費カロリーの減少、つまり「動かなくなっている」ことに原因があるようなのです。
要するに、「運動不足病」の深刻さが肥満者の増加という形で表れているのです。
肥満はさまざまな疾患のリスクを上げます。「内臓脂肪の増加」が糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞などの原因となることは皆さんもご存じのことでしょう。肥満は見栄えが悪くなるだけの問題ではないのです。
「メタボ」が流行語大賞のトップ10入りをしたのは2006年。
メタボというキーワードで運動の必要性が広く認知されてから相当の年月が過ぎたにもかかわらず、運動習慣者の割合や、1日の歩数は増えていません。肥満者の割合も減っていません。
必要性が分かっていて、やらなきゃとは思っているはずなのに実行できない。その主な理由は、メタボはあくまで心筋梗塞などの「病気になりやすい状態」にすぎず、メタボ自体が「病気ではない」からではないでしょうか。
太っていて内臓脂肪が多くても、血圧が高くても、血糖値が正常値でなくても、確かに苦しいことも、痛いことも何もありません。
多くの人は、元気で何も症状がないうちはそれほど体に気を遣わないもの。肺がんだとお医者さんにいわれるまで、禁煙を思い立ちさえしない人もたくさんいます。
ロコモに関しても同じです。
高齢になったとき、体力が低下して自立した生活ができなくなる恐れがあると分かっていても、元気で動けているうちはそれほど気にかけないものです。