(写真提供:Photo AC)
「子どもはラクラクとことばを覚えられてうらやましい」「幼い時から外国語に触れていたら、今頃はバイリンガルになれたのに…」。いずれも「ことばの学習」についてよく耳にする一言です。一方「赤ちゃん研究員」の力を借りて、人がことばを学ぶプロセスを明らかにしてきた東京大学の針生悦子先生は「赤ちゃんだってことばを覚えるのに苦労している」と断言します。その無垢な笑顔の裏で、実は必死にことばを学んでいた…あなたは信じられるでしょうか? 書籍『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』をもとにした本連載で、赤ちゃんのけなげな努力に迫ってまいりましょう。

単語の意味をめぐる「大人の常識」

1歳頃から子どもは単語を話し始めても、そこからすぐに、話すことのできる単語の数が爆発的な勢いで増えていくわけではありません。

その理由について、大人の側からも考えてみたいと思います。

たとえば、窓から見た車にしか子どもが「ブーブ」と言わないことについて、大人が少しヘンだと思うとすれば、それはなぜなのでしょうか。あるいは、「チワワを指さして“ワンワン”と言っただけなのに、すべての動物が“ワンワン”になってしまうなんてヘンだ」と私たちが考えるとすれば、それはどうしてなのでしょうか。そういう単語の使い方は、大人の常識とは違うからでしょうか。そうすると、その大人の常識とは、いったいどのようなものなのでしょう。

というわけで、ここで質問です。

(1)の写真を見せられて、「これは?」と尋ねられたら何と答えますか。また、(2)の写真を見せられたときは? あまり考え込まずにできるだけ素早く答えてください。

(1)これは?
(2)これは?