車に戻ると、阿岐本は言った。
「原磯にはてっきり、宗教法人ブローカーの息がかかっていると思っていたんだがなあ……」
「タイミングを見ているのかもしれません」
「タイミング……?」
「はい。いきなり話をもちかけても、大木さんは乗ってこないとわかっているのでしょう」
「だから、氏子総代になって外堀を埋めようって魂胆か……」
「それに、これまでは多嘉原会長がいましたからね」
 阿岐本はしばらく考えてから言った。
「次は西量寺の田代さんのところに行ってみよう」
「はい」
 日村は、田代住職とのアポを取るために、携帯電話を取り出した。
 

 

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