4人の友人

入学してすぐにできた4人の友人とは、東京女高師附属高女時代はいつでもどこへ行くにも一緒で、その友情は生涯続きました。

後に嘉子が裁判官になって名古屋で働いていた頃には、4人が名古屋を訪れたり、全員で大阪万博に出かけたり、軽井沢の別荘で語り明かしたりもしたそうです。

『三淵嘉子 先駆者であり続けた女性法曹の物語』(著:神野潔/日本能率協会マネジメントセンター)

嘉子は音楽や美術などにも才能を示して、東京女高師附属高女1年の時には、卒業生を送る謝恩会の演劇で、「青い鳥」のチルチル役を演じました(「青い鳥」とは、フランスの劇作家モーリス・メーテルリンクが1908年に発表した童話劇で、貧しい木こりの子であるチルチルとミチルの兄妹が主人公です。1920年代から日本でも上演されるようになっていました)。

嘉子のセリフは澄んだ声でよく通り、その演技は、友人たちの中でいつまでも思い出されて盛り上がるほどの出来栄えでした。

嘉子はすっかり上級生たちのアイドルとなり、また、その後も何かの機会に演劇をやる時には、主役を演じることがありました。