のどこそ、要介護にならずに、自分のことは自分でやって生きていくカナメ(写真提供:Photo AC)
令和3年の厚生労働省「人口動態調査」によると、浴槽内または浴槽への転落による溺死で亡くなった65歳以上の方の数は、約5000人だそう。「鼻と口が湯に浸かっても目覚めなかったり、動けなかったりすると数分で窒息して、命を落としてしまいます」と話すのは、声とのどの専門医・渡邊雄介先生。渡邊先生がおすすめするのは、「のどの筋トレ」を兼ねた「風呂カラオケ」。早速今日から始めるための実践ガイドです。

入浴中にウトウトしたら、風呂カラオケの始めどき

風呂カラオケを、もっと世の中に広めよう。

「声とのどの専門医」である私が、そう決心したきっかけは、「65歳以上の高齢者が、交通事故死の2倍以上、年間5000人も入浴中に溺れて亡くなっている」というニュースを知ったことでした。

「いい湯だな」とゆったりしすぎて、ウトウト寝入って、ブクブク沈んでしまう。

長湯でのぼせて熱中症になる。

立ちくらみなどで失神して浴槽に倒れこむ。

鼻と口が湯に浸かっても目覚めなかったり、動けなかったりすると私たちは数分で窒息して、あっけなく命を落としてしまいます。

交通事故死を減らすための対策は、酒酔い運転の取り締まりから免許返納プッシュまで、「国を挙げて」という感じで長年、大々的に行われています。

けれども「入浴中の溺死」を減らす対策というのは、ほとんど聞かないですね。

「お湯の温度は41℃まで、入浴は10分以内が安全です」という呼びかけや記事を時々見かけますが、「10分」の見極めは、なかなか難しい。

もうちょっとなら大丈夫……と思っているうちに、ふっと寝入ってしまいそうです。

かといって、せっかくのリラックスタイムに、タイマーをかけるのも気ぜわしいでしょう。

お風呂の溺死は、私の専門である「声・のど」と深くかかわります。

そこでひらめいたのが、のどの筋トレを兼ねた「10分以内の風呂カラオケ」でした。

歌い終えたら浴槽から出る。これなら溺れる心配がない!