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ひとり旅は何も決めずにふらりと旅する楽しさもあるけれど、目的があれば充実度はさらにアップ。自分だけの《楽しみ》《好き》を思う存分に味わう3人の旅スタイルを紹介します。今回のテーマは「欧州」。ひとり海外旅行の達人がおススメする旅先は――。(構成=大野麻里)

日本語が聞こえない環境で心を解放《欧州》

海外旅行の経験はほとんどなく、英会話もおぼつかなかった私が、ひとり海外旅行にハマったのは約30年前。仕事、子育て、親との関係など悩みの多い時期でした。そんな時、確定申告でたまたま20万円近くが還付されて。

そのお金を使ってしたかったことを実現してみよう、新しい視点が持てるかもしれないと、小さな頃から親しんできた海外文学の舞台、ヨーロッパへのひとり旅を決めたのです。

イギリスから東欧まで列車で周遊し、味わったことのない自由な空気に圧倒されました。夢見てきた景色やシックな街並み、そこに息づく人々の暮らしが目の前にある。日本語から遠く離れた環境に身を置き、人々との出会いを重ねるうちに、心が解放されていくのを感じました。

同時に、見知らぬ人とコミュニケーションがとれる、トラブルに対応するために行動できるという自分の力に気づくこともできたのです。

そこから1年に1~2回、1週間を目安に、欧州ひとり旅を続けるように。その数38回。60代になった私がいまだに欧州の旅に魅力を感じているのは、アート、音楽、文学が大切にされているのはもちろん、古いものや成熟しているものに価値を置く文化が根づいているから。

それに欧州では、若者はもちろん、リタイア世代も、自らの楽しみや知的好奇心をさらに深めるためにひとりで旅することは一般的なんですよ。