手紙
それが縁(えん)で、ママとおじさんは手紙のやりとりをするようになった。
名前を沼畑(ぬまはた)さんといって、青森県三戸郡(さんのへぐん)の諏訪(すわ)ノ平(たいら)で大きな農家を営んでいるとのことだった。ジャガイモとかカボチャとか、野菜をたくさん送ってもらったこともある。
そのうちおじさんから「来年、長男が東京の大学に行くけれど、知りあいがいないので下宿させてほしい」という手紙が届いた。
ママはそのお願いを引き受けたけど、息子(むすこ)さんはトットたちの家に来る直前に軍隊に召集(しょうしゅう)になり、それから1年もしないうちに戦死したと聞いた。
戦争が終わってもトットは、大学生が軍隊に召集されて行進しているニュース映像が流れると、息子さんはあの中にいたのかなと思って目を見開いたものだった。
※本稿は、『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社)の一部を再編集したものです。
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