老後の備え

今の職場の定年は60歳。栄子さんは今年で定年です。同業の中では待遇は良い方で、62歳までは今と同じ給与で働き続けられます。ただ、62歳を過ぎたら給与が半額になります。今は月4回の夜勤に手当が付くため、そこそこの手取りですが、今後は夜勤やシフト勤務は体がきつくなるでしょう。

なので、あと2年働いて、給与が下がるタイミングで退職し、その後は日勤のパートに変わりたいと、栄子さんは企図しています。高齢化社会ゆえ幸い、介護士の需要は高く、自宅近くの病院でもパートで介護福祉士を募集していました。

フルタイムではなく、無理のない範囲で。週に数日のパートで、細々と現役で働いて、なるべく無駄遣いをせず、いまの部屋で、小さく満ち足りて老後を暮らしていきたいと、栄子さんは考えています。

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「お金がないなら、ないなりの生活をすればいいのよ。死なない程度に、その時々で生きて行かれればいいわ」

話は逸れますが、「老後の備え」でいうと、栄子さんはすでに「VIOライン」の永久脱毛を始めたそうです。ええー? 脱毛ですか? 介護の現場で下の世話をしていると、脱毛の必要性を痛感するとか。高齢者のおむつ交換で何が大変かといえば、陰毛についた汚物の処理だそうです。

「きったなくて。毛についちゃうと、取れないから」。取り切れないと匂いも残るし不衛生です。体毛の濃さは人により、年を取るとみな薄くなるのでなく、高齢でも濃い人もいるそう。そういう人は拭くのが大変なので、介護現場の人たちの間では、「要介護になる前の、VIOラインの永久脱毛」が流行っている、と栄子さんは言います。

「みんな脱毛してる。あたしも、もうやった」。5万円ほど払って施術を受けました。完全に脱毛するには、あと5万円分くらいかかりそうで、栄子さんは近々、再度、クリニックに行く予定だそうです。