ダムの表記の仕方

ダムも基本的には溜池と同様だが、形式や材質によって表現は異なる。土を台形に盛って固めたアースダムは土堤の記号で、東京都の村山貯水池(多摩湖)や埼玉県の山口貯水池(狭山湖)などが知られている。

コンクリートのダムはグレーのベタ(墨10パーセント)で表現される。これは「平成14年図式」からのもので、それ以前は「大規模な擁壁」の扱いで、黒い点々がびっしり並んでいた。

コンクリートのダムは大きく分けて重力式ダムとアーチダムがあるが、これは真上から見た形ですぐ判別できる。

<『地図記号のひみつ』より>

アーチダムは文字通りダム湖側に反ったアーチ形になっており、記号もグレーのスリムな帯が曲線を描くのに対して、重力式ダムはグレーの面積が広く、上から見て台形を示す。天端の水面下にも同じような台形が隠れているのだが、地形図では水面下の様子を表現しないので、描かれるのは地上に出た法面のみである。

日本国内では堤高が186メートルと最も高い富山県の黒部ダムはアーチダムの代表格だが、地質の関係で両側に重力式コンクリートのウィングダムを持つ。

建設中の殉職者が171人という難工事の様子は語り草となっているが、地形図でダム周辺の険しい地形を見るだけでもそれは想像できる。