人に報告したくなる日常の変化を

母が老いていく様子を間近で見てきた私は、自分も90歳まではなんとか自立して暮らしていけるのではないかと踏んでいます。そのためには食生活を整えて病気を予防する、体幹を鍛えるために全身運動を日常的に行うことが重要だと考えているのですが……。

人それぞれに体質や、もっと言えば運命が異なるので、寝たきりにならないという保証はどこにもありません。絶対と言える方法がないとはいえ、自分のやりたいことを楽しみ、母のように、人に報告したくなるような変化が日常の中で起こるといいなと思います。

私にとっての楽しみは、社交ダンスや歩くことです。最近は忙しくてなかなか山に行けていませんが、街を歩くだけでも新しい発見があります。

たとえば、「江戸城にまつわる施設があのへんにあったはず」と寄り道をして、実際にあったら得した気分になる。

さらにそこで知的好奇心を刺激されて、あとで文献を調べてみたり。体を動かしながら頭も動かしている感覚です。楽しいことが次から次へと起きるので、やめられません。

旅をした時の母の笑顔を振り返っては思うのです。あのまま海外に出かけなかったら、違う未来が待っていたのではないかと。刺激や感動こそが、楽しく健康に生きていく術だと私は信じています。

【関連記事】
市毛良枝「2度の脳梗塞で車椅子生活になった母の目を見張る回復力。100歳で逝った母は〈楽しいことを諦めない大切さ〉を教えてくれた」
市毛良枝さんが『徹子の部屋』に出演。「ダンスがなかったら介護を続けられていなかったかもしれない、と思うほど支えられました」
市毛良枝×加藤タキ「〈介護うつ〉も晴らしてくれた社交ダンスの魔力。体重は10キロ減、洋服は13号から9号に」