情緒安定のカギは「肝」 「怒」はどう生まれるか

東洋医学の「肝(かん)」というのは、五臓の中の将軍です。

木属性で、血を蓄える、血を分配する疎泄(そせつ)という働きがあって、体中に気血を巡らせてくれますよ。

前項で触れたように「心」が血の流れをコントロールするわけですが、その前に、「肝」から血をもらう必要があるわけです。

東洋医学では、「木生火」という考えがあって、肝血が充実していれば、心血を生むことができて、私たちの精神状態を保つことができる、と考えます。

「肝」は「怒り」という感情に深く関わっていますが、東洋医学の怒りは、ただ「怒る」ことだけを指しているのではありません。

イライラや恨み、不満……なども全部、怒りを引き起こす要因です。

例えば、子供は、おもちゃが欲しいのに親が買ってくれなかったとき、泣いたり、床にへばりついてすねたりしますよね。これも怒りの一種です。または、煽(あお)り運転。前の車の運転が気に食わないといって、わざと煽ったりする。これも怒りの一種です。

自分が不満を感じたり、やりたいことができなくて邪魔されたりすると、怒りが生まれるんですね。