翌年に戻った「鷹の目」

王さん自身、74年の打率3割3分2厘、49本塁打、107打点から、75年は打率2割8分5厘、33本塁打、96打点と大きく数字を落としました。

チームは巨人史上初めて最下位に沈み、王さんも13年続いた本塁打王のタイトルを田淵幸一さんに奪われたのです。

田淵幸一、後藤次男監督と。1978年撮影(写真提供:読売新聞社)

ところが王さんのすごいところは翌年には、あの鷹の目が戻り、再び本塁打王のタイトルを取り返すところです。

長嶋さんも監督2年目で動きました。日本ハムとのトレードで張本勲さんを呼び、チームを活性化させたのです。そして、最下位から優勝を果たし、また強い巨人が復活しました。

王さんが楽な表情で野球をやったのはその1年だけでした。