岡田監督に期待すること
巨人の歴代監督は阿部慎之助で第20代です。一方の阪神は2度目となった岡田監督が第35代です。そして、日本一の回数は巨人が22回で、阪神が2回。この数字こそ阪神がバトンタッチをおろそかにしてきたことを物語っています。
過去は勝てない理由をすべて監督に押し付け、トカゲのしっぽ切りのようにして、「伝統」がぶつ切りになってしまうことが多かったのです。
だからこそ2023年に2度目の日本一に導いた岡田監督は今までの阪神にない美しい形で、次の監督にバトンを渡してほしいのです。
2023年のシーズンで巨人・原辰徳監督は東京ドームの最終戦のあいさつに立ち、「マイクもすべて新監督に渡す」と阿部慎之助に託しました。
巨人はずっとそういう風に監督交代の「引き継ぎ」がありました。ある意味では坂本勇人の遊撃から三塁、岡本和真の三塁から一塁へのコンバートも原監督の置き土産のようなものです。
岡田阪神の2023年のスローガンの「A・R・E」の「R」はOBの方たちへのリスペクトという意味も込められているといいます。
生え抜きの監督として日本一となった岡田監督は、今度こそ常勝球団として強固な土台を築いて、次の監督にバトンタッチしてほしいのです。
※本稿は、『虎と巨人』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『虎と巨人』(著:掛布雅之/中央公論新社)
1985年以来、38年ぶりの日本一に輝いた阪神タイガース。
2年連続のBクラスに沈み、阿部慎之助新監督のもとで戦う読売ジャイアンツ。
ファンに愛され続ける“ミスタータイガース”が、「伝統の一戦」を繰り広げる二つのチームについて、その魅力を語りつくす。