日本一につながった「金本の野球」

そして他の四番打者と何が違うかというと、一塁までの全力疾走です。少年野球の頃からたたき込まれた野球の基本ではありますが、プロになると難しくなるのです。

7割、8割では走りますが、1年通して全力で走るのは並大抵のことではありません。それを広島でトリプルスリーを達成した金本が加わり、走る意識を阪神に植え付けたのです。

『虎と巨人』(著:掛布雅之/中央公論新社)

それが伝統として20年経っても受け継がれ、2023年の日本一につながったと思っています。四番の大山悠輔が「金本の野球」を実践したからです。

連続フルイニング出場に代表される休まない野球もそうです。金本の姿を見て育った鳥谷敬(たかし)、鳥谷を見て育った大山と受け継がれてきたのです。