年を取ったら、いろんなことに時間がかかるのなんて、あたりまえ

いま急いでやらなければならないことが、なにかありますか?

若いときみたいに、たくさんのことを急いでやる必要がなくなりますから、たいそうラクなものです。

年を取れば、多くの場合子どもは自立して家を出ていますし、自分の親も旅立っています。だれかに急かされることは、なにもありません。

レジでお金を支払うときだって、アタフタしてしまっても気にすることなどありません。年を取ったら、いろんなことに時間がかかるのなんて、あたりまえなのですから。

「えっ? いま、なんとおっしゃいましたか?」

こんなふうに、相手に何度も聞き返してもいいのです。年を取ったら、耳が遠くなるのは普通のことです。

できない自分を恥じることなど、いっさいないのです。

これって、年を取ったからそう言えるのではなく、じつは若いときだってまったくおなじことです。

できない自分を責めるから苦しいのです。

若いころは許せなかった自分をどんどん許せるようになります。それが、年を取るということです。

「老いるというのは、どういうことですか?」という質問をよく受けます。そのとき私は次のように答えています。

「老いとは、人生でこれまでため込んできたことをひとつひとつ、手放していくプロセスなのですよ」と。

亡くなった後に、あちらの世界に持っていけるものなど、なにひとつありません。

持っていけるとしたら……なんでしょうね? 私にもよくわかりません(笑)。

年を取ったら、身軽になって、あなたが好きなことを、好きなだけやってまわりがニコニコしていることが大切です。

※本稿は、『あなたは、そのままでいればいい』(扶桑社)の一部を再編集したものです。


あなたは、そのままでいればいい』(著:鈴木秀子/扶桑社)

「老い」をありのままに受け入れたい。

人生100年時代を、最後まで軽やかに生き抜きたい。

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