書くことで人生が物語になる

その後はお互い「書くこと」への向き合い方をそれぞれ語り合う。

坂口さんは「最初は僕の書くことを誰が読むんだろう、と思いましたが、友達に話せないことを書きたい、あ、坂口もこう思うんや、と思ってくれるかも、と。人生が物語になるみたいな気持ち。ロイホで5時間かけて書きました」と執筆の苦労と喜びを表現した。

ヒオカさんは「しんどい時や気持ちが落ちてる時の方が書けたりする。幸せになってしまうと書けなくなるのかな、と不安もある」と複雑な心境を語ると、坂口さんは「もし失敗しても、書く仕事をしていると、この経験をタダではおかない、活かそうと思えますよね」とフォローする。

最後はファンの方からの質問に答える時間に。「落ち込んだ時の立ち直り方」を聞かれたヒオカさんは「〈死ぬのがもったいない〉と思える人に出会えた。中川家さんやちゃんみなさん、坂口さんもです」と。坂口さんは「自分はミュージカルの『キャッツ』の挿入歌を歌ったりして気持ちよくなったりしてます。あなたも僕のマネをしてみて」と会場を笑わせた。

「つらい気持ちを友達にメールなどに送れるか?」という質問には「つい送ってしまうけど、いつも連絡するのは自分からなんですよ」と、悩みを語るヒオカさん。でも、「10秒後にはその人がいなくなるかもしれない、と思うと勇気が出ますよね」と、人と人との出会いについて思いを馳せる。「諦めないで縁を引き寄せる力」に、坂口さんも大きく共感していた。

会の終了後はお互いのファンにサインをしたり写真を撮ったりと楽しい時間に。2人の勧めた本を買っていくお客さんも。「読むこと」「書くこと」が好きな人たちが集まった、幸せな時間となった。

ヒオカさんの本を手にフォトセッションに応じる坂口さん